2013年2月12日火曜日

51S-1用セラミックフィルタの作成③

 
図1
昨日のブログでは直列共振周波数497.5kHzに加工したセラロックを用いて7素子のセラミックフィルタを作成しましたが、出来上がったフィルタの通過帯域の特性が芳しくなく(図1;USB側が欠けた様になり)今日のブログではその対策について検討してみました。

前回マスターしたセラミック発振子の加工方法で直列共振周波数が497.5kHzとなるセラロックをさらに46個作成しました。

なるべく均一な特性になるように意識して加工したつもりでしたが、出来上がったセラロックの特性を計測したところ
fs(直列共振周波数)497.425±0.150kHz(min497.070kHz-max497.681kHz)
fp(並列共振周波数)514.354±0.646kHz(min512.207kHz-max515.381kHz)
との測定結果がでました。

fsの値が比較的そろっているのに対してfpの値にばらつきが大きいことがわかりました。このことはフィルタを設計する際の⊿f(直列・並列共振周波数差)の値のばらつきが大きくなることを意味します。

またそれぞれの素子の端子間容量についても252~266pFと約5%の違いがあり、結合コンデンサーを±0.5%にそろえたとしても端子間容量の差が大きく、結合コンデンサーの容量をすべて同じとして設計したLSBラダー型フィルタにおいては通過帯域が平坦ならない原因のひとつと考えることができます。

そこで今回は結合容量を個々のセラミック発振子の端子間容量、⊿fによって通過帯域にあわせて再計算し、結合コンデンサーの値を発振子1つずつで変化させた8素子のLSBラダーフィルタを作成してみました。
図2
図3
図2では結合容量を入力側<中央部<出力側と配列したのに対して、図3では入力側出力側で小さく中心部で容量が大きくなるように配列したものです。

通過帯域の対称性からいうと図2が、通過帯域の平坦度からみると図3が優れた結果となりましたが、まだ理想的な特性にはなりません。前述の素子の特性が均一でないこと、またLSBラダー型フィルタ設計上の限界(通過帯域が⊿fの1/3までが限度とされている;今回の⊿f実測値14.7-17.94kHzに対して通過帯域が5.5kHzと広いため)により理想的な特性が出ないのではないかと推察されました。

セラロックの特性をそろえるためには多くの数を加工するか、加工の精度を上げるしかないですがそれにはかなりの手間と時間を要します。ひとまずは現在の特性で我慢して今後は51S-1に組み込む方法について検討していこうと思います。

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